2025年3月19日水曜日

【報告】ゆうちょ裁判、第3回弁論(3月19日)が開かれました(25.3.19)

  ゆうちょ裁判とは >概要 >オンライン署名 
  次回期日(第4回):5月14日(水)午前10時30分から、603号法廷。 
  【報告】第2回口頭弁論
  【速報】第2回弁論(2月12日)で原告が被告にした質問を書面化
  【感想】ゆうちょ裁判、第2回弁論に提出された被告準備書面(1)の感想「アッと驚くタメゴロー」

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             雪が降った関東(埼玉県川越市)

ゆうちょ裁判の第3回口頭弁論期日が雪となった3月19日、東京地裁603号法廷で開かれました。

雪の中をものともしない熱心な傍聴人8名が参加。

第2回弁論で裁判所と原告から被告に対し出された質問に、被告が応答した準備書面(2)が届きました(PDFこちら)。

また、裁判所が原告に対して宿題として出した、原告が「権利能力ない社団」であることを証明する準備書面(1)も事前に提出しました(PDFこちら)。

本日第3回目は、これらの提出書面を中心に、裁判所から被告に対し以下の感想とさらに注文が。
被告の書面は「ゼロ回答」(つまり応答ナシ)ですね。
たとえ口座開設を拒否した件数のデータが残っていないとしても、拒否するにあたって審査の過程で何かしらの痕跡(例えばメールのやり取り)は残っているでしょうから、それを示して下さい。

他方、原告からは今回の被告準備書面(2)について、以下の6点の質問をしたところ、裁判所がそれらをすべて調書に残しておきますと、被告に検討するように指示を出しました。

そのおかげで、真相解明がさらに一歩前に。
こんな充実した裁判は近年経験したことがないーーそれが本日、傍聴に参加した人たちの感想でした。
裁判官と当事者が一緒に力を合わせて協同作業しながら、真相解明を掘り進んでいく。そんな理想の裁判を実際に見てみたかったら、このゆうちょ裁判に傍聴されるといいーーそう自信を持って薦められる今日の裁判でした。


 

2025年2月13日木曜日

【感想】ゆうちょ裁判、第2回弁論に提出された被告準備書面(1)の感想「アッと驚くタメゴロー」(25.2.13)

 昨日の第2回弁論の少し前に提出された被告ゆうちょ銀行の準備書面(1)(>PDF)。それを一読した者が抱く感想は、かつて一世を風靡した「アッと驚くタメゴロー」だ。

何がそんなに驚きなのか。
第1に、ゆうちょ銀行の口座開設を希望する者が申込みをしてきても、ゆうちょ銀行には契約自由の1つである「誰と契約するかを選択する」自由がある。だから、いくら口座を開設したいと申し込みがあってもゆうちょ銀行が「オレこいつとしたくない」と思ったら開設しない自由を行使できると。
民営化前からの実績を踏まえて、これだけバリバリの社会的、公共的性格を帯びているゆうちょ銀行の口座開設について、自分たちがまるで200年以上前のフランス革命直後の「契約自由の原則」万能の時代に生きているかのように錯覚して、申込みを自由に拒否できると考えているのではないか。それは弱肉強食の論理だ。時代錯誤もはなはだしい。

第2に、とはいっても、「契約締結の相手方選択」について万能の自由があると正面切って主張し抜くのはさすがに気が引けるらしく、そのあと、でも、自分たちは自社で設定した審査基準に従って、審査して開設の可否を判断していると第1の主張を軌道修正する修正路線を言い出した。
だとしたら、この裁判の残された課題は、その審査基準とやらを法廷の前に示して貰って、本件で原告の申込みがこの審査基準に照らし、どこがどうおかしいのか、きっちり吟味するだけのことになる。
しかし、この肝心要の検証はできないと言う。なぜなら、審査基準を示すと、今度はその審査基準を悪用(潜脱)して、これをかいくぐって申込みをする不逞の輩が出てくるからだと!
その結果、原告は、被告が「総合的な判断によるものである」という説明で口座開設拒否を甘んじるしかなく、それ以上、被告の設定した審査基準について弁明する機会はついに与えられないまま一件落着となってもしょうがないと。
つまり、ゆうちょ銀行は、民営化前の国家機関の時とは異なり、民間の株式会社となったのだから、口座開設拒否の理由についていちいち説明する責任なぞないのだと。

しかし、さすが「弱肉強食の世界に君臨する強者」にふさわしく、ゆうちょ銀行は不利益を受ける弱者=市民の側のことが何一つ、全く考えられていない。

そして、ゆうちょ銀行のロジックを突き詰めると、たとえ市民がどんな不利益な扱いを受ける場合であっても、その不利益を受ける判断基準となるものを予め、そして事後的にも示す必要はないことになる。例えば、市民が犯罪を犯したという理由で刑罰という不利益処分を課される場合でも、いかなる基準で処罰されるのか、これを罰せられる市民に事前にも事後にも示す必要がなく、精々「総合的な判断によるものである」という説明で十分である。その結果、
君を「総合的な判断により」死刑とすると言われても、それを甘んじて受けるしかなくなる。このやり方だったら、袴田さんはあっという間に処刑されてしまっただろう。
このやり方が甚大な人権侵害をもたらすという過去の深刻な経験から、人類は、人を処罰という不利益処分をする場合には、予め判断基準を示す必要があるという原則が打ち立てた。それが「罪刑法定主義」。そしたら、その結果、その処罰基準を悪用(潜脱)して、これをかいくぐって犯罪に手を染める不逞の輩が出てくる。これは不可避だ。だが、それにもかかわらず、人類はこの原則を引っ込めなかった。なぜなら、この悪用する輩に対しては彼らと闘うだけのことであって、だからといって、処罰基準を引っ込めて、訳も分からないうちに処罰されてしまうことはその濫用による人権侵害があまりに憂慮されたからである。
こうして、市民に不利益な扱いをする場合には判断基準の設定・公表すること。この原則の拡充がその後の人権の進化の歴史となった。

だとしたら、国家組織がたんに民営化されたというその瞬間から、この人権保障の原則が雲散霧消してなくなるということが、市民の人権保障の観点からどうして正当化できるのだろうか。
結局、ゆうちょ銀行のロジックは「強欲資本主義」の流行に乗って、単に、自分たちが好きなようにやりたい放題やるというウルトラ自己中心主義以外の何物でもない。この意味で、ゆうちょ銀行のこれらの主張は人権侵害の最前線にふさわしいおそるべき主張、それゆえ、市民としては徹底して抗うに値する重要な主張である。

【速報】ゆうちょ裁判、ジャブの本格化:第2回弁論(2月12日)で原告が被告にした質問を書面化しました(25.2.13)

 前日の2月12日の弁論で、1月末に被告が提出した準備書面(1)(>PDF)に関して、原告が被告にした質問を書面化しました。質問の意味を明確にし、被告の回答を確実にするためです。
また、前日の弁論は時間の制約もあり、質問を一部端折ったところがあったので、本日の書面化したものには端折った質問も追加して万全を期しました。
いよいよジャブが本格化する。

以下がその書面です(>全文のPDF)。


2025年2月12日水曜日

【報告】ゆうちょ裁判、第2回弁論(2月12日)が開かれました(25.2.12)

 ゆうちょ裁判とは >概要 >オンライン署名 
  次回期日(第3回):3月19日(水)午後1時15分から、603号法廷。 
  第2回口頭弁論の報告の続き、以下の通り。
  【速報】第2回弁論(2月12日)で原告が被告にした質問を書面化
  【感想】ゆうちょ裁判、第2回弁論に提出された被告準備書面(1)の感想「アッと驚くタメゴロー」

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ゆうちょ裁判の第2回口頭弁論期日が2月12日、東京地裁603号法廷で開かれました。

今回、被告代理人2名が初めて出廷。傍聴人も前回の6人から倍の12人。ゆうちょ銀行らしき2人の職員を合わせ14人。小さいな法廷は一気に熱気むんむん。

先月末に、被告のゆうちょ銀行から訴状に対する認否と反論を書いた準備書面(1)が届きました(PDFこちら)。いよいよ知的格闘技のジャブの開始。

次回の準備として、
(1)、裁判所から被告に対し次の指示が。
これまでに、反社会的な団体以外の団体で、口座開設の拒否がどれくらいあるのか、示して欲しい。
  ↑
原告から補足。かつて(2018年)日本版の会が口座開設の申込みをしたときにはすんなら認められた。おそらく口座開設拒否はここ数年の間に増えていると思われるので、時期を明示して、拒否の件数を明らかにして欲しい。
ということで、ここ10年間の間に年間の拒否の件数を明らかにすることに。

(2)、裁判所から原告に対し次の指示が。
今回提出の被告準備書面(1)にある
1、前提問題である原告適格について(第1)
原告が「権利能力なき社団」であることを争うと主張しているので、原告からこれに対する反論を準備すること、
2、本題について(第2以下)
被告が否認もしくは不知と主張したものについて、原告から反論を準備すること。

原告はこれを了解。ただし、
今回の被告の準備書面(1)が原告の訴状をどうも議論が噛み合っていないように思う。
原告の主張は要するに、これまでの市民団体の口座解決の経験から犯罪やマネーロンダリングと無関係な原告に、開設を拒否される覚えがない。そこで、原告の身の潔癖を晴らすために、被告から拒否の理由を示して貰いたい。それが裁判を起こした理由です。
しかるに、被告は、準備書面(1)で、
①.「正当な理由」がなくても拒否できると主張する一方で、
②.今回、原告の申込みを拒否したのは、被告自身が設定した基準に該当しないからだと主張。
しかし、その基準を示す必要はない。つまり、原告にはその基準に該当するかしないかについて弁明の機会を与えない、というもの。
これでは議論が噛み合わないのは当然。
これが不当であることは明らか。

すると、裁判所は、
いま原告が指摘した、被告のこの態度が不当であるかどうか、これが問題になりますね。
     ↑
原告、これが不当であることを次回に全面的に明らかにしたい。
ついては、そのための準備として、今回提出の被告準備書面(1)について被告に尋ねたいことがあると裁判所に伝えたところ、
裁判所は了解、以下の質問を被告にしました。
1、訴状6頁(1)、民営化前
訴状6頁(1)に対し、準備書面()3頁11行目に「その余は否認ないし不知」とあるので確認させて下さい。訴状6頁(1)の
振替口座の開設について、被告の民営化前においては、郵政省は第1に、特段の正当な理由なしに振替口座の開設を拒否できない、第2に、もし例外的に、国民の社会生活に重大な影響を及ぼす、なおかつ上記の意味での独占的なサービスである振替口座の開設を拒否する場合には、公正性原則、透明性原則、説明責任の行政法の基本原理に照らし、拒否せざるを得ない正当な理由について国民に納得して貰うために説明を尽くすことが求められた
(6頁下から4行目~7頁3行目)
という原告主張を、被告は否認するのですか。
→被告の答え:準備書面(1)の記載の通り。
原告からの再質問:では否認でよろしいのですね。
→被告の答え:その通り。

2、訴状6頁(1)、民営化前

訴状7頁(2)に対し、準備書面()3頁20行目に「その余は否認ないし争う」とあるので確認させて下さい。訴状7頁(2)の
《民営化前からのやり方である、
「第1に、特段の正当な理由なしに振替口座の開設を拒否できない、
第2に、もし例外的に、振替口座開設を拒否する場合には拒否せざるを得ない正当な理由について国民に納得して貰うために説明責任を果すことが求められる」
点は、民営化によって変更される理由はない。(7頁下から11行目~7頁7行目)
という原告主張を、被告は否認ないし争うのですか。
→被告の答え:準備書面(1)の記載の通り。
原告からの再質問:でが否認ないし争うでよろしいのですね。
→被告の答え:その通り。

3、準備書面(1)第3、被告の主張、1、(1)
《これを主な論拠とする、被告には、正当な理由なく振替口座の開設を拒否できないという振替口座開設の義務があるとする原告の主張は失当である》(5頁12~14行目)

原告がお尋ねしたいことは、ここの被告主張の意味です。
民営化後は、被告は、正当な理由に関係なく、自由に開設を拒否できるという意味ですか。

4、 準備書面(1)第3、被告の主張、1、(1)と(2)(4~6頁)
(1)(2)の関係をどう理解するのか、被告の見解を聞かせて欲しい。
つまり、(1)からは開設の申込みに対し、自由に拒否できるように読める。しかし、(2)だと決して自由に、好きなように拒否してよいのではなく、被告自身が設定した基準に則って判断することが求められている(その限りで義務を負っている)ように読める。相異なるこの2つの関係をどう理解したらよいのか。

→被告:即答できず。 
裁判所も関心を示し、被告に検討を指示。

5、 準備書面(1)第3、被告の主張、1、(2)
《権利能力なき社団名義の口座の開設希望者が、構成員の持分を観念し得る任意団体ではなく、……》(6頁下から8~7行目)
の「構成員の持分を観念し得る任意団体」とはどういう意味なのですか。
→被告:即答できず、モジモジしていると、 
裁判所が「それは、そのあとの、《権利能力なき社団としての実態を確実に備えていること》を別の言い方で表現しただけのことで、特別な意味はないんじゃないですかと助け舟を出すと、
被告は、その通りと答える。

6、 準備書面(1)第3、被告の主張、1、(2)
《被告は、……一定の審査基準を設けているところ、原告は当該基準を満たしていなかった》(6頁下から4~2行目)
(1)、原告が満たしていなかったという「当該基準」のところだけでよいので、これを示して貰えませんか。     
→被告の答え:できない。それを示すと、その基準を潜脱を図る連中がいるから。
     
(2)、一定の審査基準の策定にあたっては、監督官庁である金融庁の行政指導がなかったのですか。
→被告:即答せず。

7、 準備書面(1)第3、被告の主張、1、(3) 
口座開設に関する審査基準を開示する場合は、実態を伴うことなく、形ばかりの審査基準を満たす資料を提出する方法等によって、権利能力なき社団としての実態を有さない団体が、当該基準の潜脱を図る申し込みをするおそれ等があるため》
の下線の「実態」とは何を指すのですか。
→被告:そのあとの「権利能力なき社団としての実態」という意味である。

次回の書面の〆切:双方とも3月12日。

【報告】ゆうちょ裁判、第3回弁論(3月19日)が開かれました(25.3.19)

  ※  ゆうちょ裁判とは > 概要  > オンライン署名     次回期日(第4回):5月14日(水)午前10時30分から、603号法廷。     【報告】第2回口頭弁論    【速報】第2回弁論(2月12日)で原告が被告にした質問を書面化    【感想】ゆうちょ裁判、第2回弁...