私たちは、今年5月出版されたブックレット「わたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方を」を一人でも多くの人に知ってもらうために、ブックレットの拡散、本代の回収、記録をおこなう新しい会を立ち上げました(「災害時の人権を考える会」といいます。その規約は>こちら)。そして、「災害時の人権を考える会」の名前で、新しい振替口座を開くために、ゆうちょ銀行に口座開設の申込をし、必要な書類等をすべて準備し、受理されました。
しかし、その後、ゆうちょ銀行から、口座開設を拒否しますという1枚の書類が届きました(以下です。PDFは>こちら)。
けれど、その書類にはなぜ、私たちの新しい会が振替口座を持てないのか、その理由の説明が何も書いてありません。そして、その理由についての問合せにも応じないと書いてありました。この問答無用の無慈悲な回答を受けて、私たちは、ゆうちょ銀行の(法人でない)団体の口座開設のサイト(>こちら)を調べたら、そこにこう書かれていました。
マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の重要性が近年益々高まっていることを受け、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等で求められている確認に加え、下記の書類等をお持ちいただいたうえで、口座開設にかかる審査を実施しております。
そうだとすると、私たちの新しい会はマネー・ローンダリング(警察庁の解説>こちら)かテロ資金の関係する組織とみなされたものと思われます。これこそ青天の霹靂!腰を抜かしてしまいました。私たちのどこに、そんな犯罪行為に関与すると疑われるところがあったのでしょうか。これを知り、今すぐ、この腹をかっさばいて、腹黒い血なぞ一滴も流れていないことを証明したい衝動に駆られました。
そこで、私たちをそのように疑っていると思われるゆうちょ銀行に対し、本日、私たちの口座開設申込を拒否した理由について、きちんと説明して下さい、もし私たちがマネー・ローンダリングかテロ資金の関係する組織と疑われているのなら、その疑いを晴らすために必要な手立てを協議する場を設けて下さい、という以下の質問&協議の申入れをしました(PDF>こちら)。
これは単なるちっちゃな出来事ではありません。或る日突然、私たち庶民の取組みに「マネー・ローンダリングやテロ資金の関係する組織」というレッテルを貼られ、私たちの取り組みに必要な血液(お金)を回すための心臓(ポンプ)みたいな役目をする銀行口座が開けなくなり、活動停止を余儀なくされるーーだれもがこのような目に巻き込まれる可能性があることを今回の一件は示したからです。
それは、決してささいな問題ではありません。市民が自分たちの社会を自分たちの手で運営し、統治するための基本的な市民活動、この自己統治に対する重大な規制だからです。人権でいうと、憲法が私たちに保障している「結社の自由」(21条)に対する理不尽な規制だからです。
ブックレット「わたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方を」のエッセンスは、理不尽な事態に対し「それはおかしい。わたしたちはその理不尽に甘んじない」です。今回、ブックレットを書いた私たちは、その最初の試練に出会いました。そこで、この理不尽に屈しないため、人権を行使するため、一歩前に出ることにしました。 それがゆうちょ銀行に対する以下の質問書です。
一歩前に出る私たちのアクションに注視をよろしくお願いします。
(文責 「災害時の人権を考える会」代表 柳原敏夫)
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2024年7月10日
株式会社 ゆうちょ銀行
横浜貯金事務センター所長 様
「災害時の人権を考える会」
代表 柳原敏夫
市民団体「災害時の人権を考える会」(以下、当団体といいます)は、本年5月23日、貴社の運営する振替口座の開設申込を小田原城山郵便局にて申込をしたところ、貴社より6月26日付の書面で、口座開設を拒否するという通知が届きました。その結果、活動目的を「災害時の被災回避を啓蒙する著作物の出版の企画と販売」(規約3条)と定める当団体にとって、出版物の販売を遂行する上で不可欠な活動(売上代金の回収と記録)のための振替口座が利用できなくなり、当団体は事実上、活動停止に追い込まれるという深刻な事態に至りました。これは憲法が市民に保障する結社の自由(21条)に対する重大な規制であることは言うまでもありません。
もとより、当団体も、貴社の口座開設が無条件で認められる訳ではなく、貴社のホームページが告知している通り、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いといったいわゆる反社会的な利用目的での開設申込に対してはこれを拒否することが正当化されることは重々承知しているところです。ところが、今回の当団体の開設申込が上記の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑い」に該当するのか否か、上記通知にはその点についての説明が何もなく、当団体は正当な理由を知らされないまま、活動停止に甘んじなければならないという途方に暮れる事態に置かれています。
その後、当団体の調査により、「銀行業務の公共性(銀行法1条)に鑑みて,銀行の預金取引については契約自由は制限され,銀行は顧客からの預金取引の申込みに対し正当な理由がない限り承諾すべき義務がある」というのが今日の判例だと知りました。そこで、当団体は、原則として口座の開設を承諾する義務がある貴社に対し、なぜ、この原則通り承諾しなかったのか、拒否を裏付ける「正当な理由」を、しかも、例えば、単に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いがある」といった一般的な理由ではなく、どのような具体的な事実に基づき「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いがあるのか」を明らかにして書面で封筒記載の住所宛に回答して頂くよう、ここに申入れをする次第です。
今回、当団体は、少なからぬ時間と労力をかけて、小田原城山郵便局にて貴社が求める口座開設の申込に必要な情報と書類をすべて準備し、クリアし、受理されました。にもかかわらず、その後、横浜貯金事務センターにて理由の全面不開示のまま拒否されたことに対しては、これが顧客のニーズに応えて企業の社会的責任を果す日本を代表する金融機関の姿なのかと大いになる困惑と不信の念がふつふつと沸いてくるのを押さえ難いというのが偽らざる心情です。
そして、貴社の回答は、当団体が活動停止に甘んじざるを得ないのかどうかという瀬戸際に立たされた市民団体の活動に関わる重要な事柄ですので、この質問書と同様にブログにて公開いたします。
その上で、貴社より頂いた回答により、万が一、例えば「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑い」をかけられるのが尤もだと判明した場合には、当団体としては、即刻、冤罪ともいうべきその疑いを晴らす所存でありますが、なにぶん市井の人で構成される当団体はマネー・ローンダリング及びテロ資金問題のずぶの素人です。そこで、マネー・ローンダリングらの問題に通暁されている貴社から当団体に対し、何が揃えばその疑いが晴れるのか、この点について説明を果していただく社会的責任があるものと考えます。よって、そのための対応策を検討する協議の場を設けていただくことを強く求める次第です。
当団体にとって死命を制する重大な事態に対して、以上が当団体からのささやかな要望のご連絡です。これに対し、もし不幸にして、このような顧客の要望に応えることが適わないという対応をされる場合には、誠に不本意極まりありませんが、当団体としては、司法の場で、貴社の口座開設を承諾する義務に基づき、今回の拒否を裏付ける「正当な理由」の開示を求める所存でありますので、念のため申し添えます。
以上の顧客からの切実な質問及び協議の申入れに対し、市民社会から貴社の不適切営業は「巨大銀行の奢り」と非難を受けることのないように、誠実なご検討と回答を願ってやみません。
以 上
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