2024年12月26日木曜日

【報告】ゆうちょ裁判、第1回弁論(12月25日)が開かれました(24.12.27)

 ゆうちょ裁判とは >概要 >オンライン署名 
  次回期日:来年2月12日(水)11時半から、603号法廷。

ゆうちょ裁判の第1回口頭弁論期日が12月25日、東京地裁603号法廷で開かれました。
担当裁判官は民事第4部の部総括の西村康一郎さん。まずは淡々と落ち着いた訴訟指揮ぶりでした。

期日直前の2日前、被告のゆうちょ銀行からペラペラの答弁書が届きました(PDFこちら)。 「この親(ゆうちょ銀行)にしてこの子(代理人弁護士)あり」の通り、裁判の主題である「振込口座開設の拒否の理由について」、何の説明もないものでした。



当日の裁判には6名の傍聴人が駆け付けてくれました。
被告欠席のまま、訴状(PDFこちら)と答弁書の陳述ということで、あっという間に審理終了。 

次回期日は来年2月12日(水)11時半から、603号法廷で。
来年1月末までに、被告ゆうちょ銀行から、訴状の中身に対する認否と反論を提出することも決められました。次回からいよいよ本番、本裁判の主題に入ります。楽しみにしていて下さい。

傍聴された皆さま、お疲れ様でした。 H期続き、宜しくお願いします。

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ゆうちょ裁判賛同のオンライン署名のスタート(24.12.27)

2024年11月8日のゆうちょ銀行への提訴(その報告>こちら)と同時に、この提訴の賛同者を募るオンライン署名を開始しました。

賛同いただける方は、署名をお願いします(こちらから


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2024年11月8日のゆうちょ銀行提訴の際に提出した証拠の一覧表(24.12.27)

 以下は、私たち団体が2024年11月8日に、ゆうちょ銀行提訴の際に提出した証拠の一覧表です。

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令和6年(ワ)第 30306 号

原  告  災害時の人権を考える会

被  告  株式会社 ゆうちょ銀行

証 拠 説 明 書 ()

20211 8

東京地方裁判所民事部 御中

原告 代表 柳 原  敏 夫  

1、書証(甲1~12

甲号証

標     目

(原本・写の別)

作 成

年月日

作成者

立 証 趣 旨

備考

団体「市民が育てる『チェルノブイリ法日本版』の会」の結成の趣旨説明

2018.3.

原告代表柳原敏夫

団体「市民が育てる『チェルノブイリ法日本版』の会」(以下、日本版の会と略称)の活動の目的を明らかにしたもの。


団体「市民が育てる『チェルノブイリ法日本版』の会」の規約(改訂版)

2019.3.17

柳原敏夫ほか

日本版の会の組織体制及び運営を明らかにしたもの。


ブックレット「わたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方を」の出版社のHP

2024

新曜社

出版社のHPの新刊紹介の頁に、左記ブックレットが紹介されたこと。


原告の規約

2024.5.10

柳原敏夫ほか

の組織体制及び運営を明らかにしたもの。


書面(無題)

2024.6.26

被告 横浜貯金事務センター所長

被告が原告に対し、理由を明かさずに、原告の振替口座開設申込みを拒否する通知をしたこと。


質問及び協議の申入書

2024.7.10

原告代表柳原敏夫

口座開設申込みを拒否した理由につき被告に説明を求め、もし原告が「マネー・ローンダリングかテロ資金の関係する組織」と疑われているのなら、その疑いを晴らすために必要な手立てを協議する場を設けて欲しい旨の申入れをしたこと。


書面(無題)

2024.730

被告 横浜貯金事務センター所長

被告から原告に対し、理由は回答できないという回答があったこと。


再度の質問及び協議の申入書

2024.7.30

原告代表柳原敏夫

長い歴史を持つ民営化以前の被告の振替口座開設のあり方にさかのぼって問題を検討し、そこで得た結論に基いて、再度、甲6と同様の質問をしたこと。


陳述書

2024.11.4

同上

1、日本版の会の発足の経緯と現状

2、原告の発足の経緯と現状

3、振替口座開設を拒否されたことについて


10

陳述書

2024.11.4

原告会員

大庭有二

1、原告と日本版の会との関係

2、振替口座開設をめぐる経過

3、被告の振替口座の開設拒否による影響

4、裁判所に望むこと


11

陳述書

2024.11.5

原告会員

岡田俊子

1、私と日本版の会・原告との関係

2、本ブックレットの拡散・販売・送金・集計

3、振替口座開設を拒否された結果について

4、裁判所に望むこと


12

陳述書

2024.11.4

原告会員

三宅征子

1、私と日本版の会・原告との関係

2、振替口座開設を拒否されたことによる影響

3、裁判所に望むこと



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2024年11月8日のゆうちょ銀行提訴の際に提出した私たち団体メンバーの陳述書(24.12.27)

 以下は、2024年11月8日のゆうちょ銀行提訴の際に提出した私たち団体メンバー4人の陳述書です。

代表 柳原敏夫(PDF>こちら


会計担当 大庭有二(PDF>こちら

会員 岡田俊子(PDF>こちら

会員 三宅征子 (PDF>こちら


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記者会見映像
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2024年11月8日、私たちはテロ組織という『えん罪』を晴らし、市民活動を開始するチャンスを手に入れるため、ゆうちょ銀行を提訴しました(24.12.27)。

私たちは、2024年8月1日に、「どうか、私たちにテロ組織という『えん罪を晴らす方法を教えて下さい」とゆうちょ銀行宛に「再度の質問&協議の申入れ」(PDF>こちら)を出しました(その報告は>こちら)。

しかし、待てど暮らせどゆうちょ銀行から何の回答もありません。このままでは私たちの団体の運営が立ち行かなくなる。やむを得ず、この口座開設拒否の真相は公平な第三者の立会いのもとで明らかにするしかないと考え、11月8日、『虎に翼』の舞台である裁判所に提訴しました。それが1円の損害賠償訴訟です(訴状全文は>こちら)。

と同時に、この提訴に対する支援を求める以下のオンライン署名を開始しました。まだの方は是非、署名をお願いします(こちらから

当初、私たち市民団体はNPOとか一般社団法人のような法人格は持たず、メンバー4人の小所帯の団体のため、原告としての資格を欠くと疑われ、訴状自体の受付でひと悶着あるかもしれないと危惧したのですが、実際にはそのような悶着はなく、すんなりと受け付けられました。

また、損害賠償額が1円のため、形式的には裁判所は簡易裁判所に係属することになるのですが、この裁判が人権裁判であるという性質を訴え、地裁での係属を希望したところ、これもまた受け入られました。

訴状と一緒に提出した私たち団体のメンバーの陳述書は>こちら

かくして、この事件は東京地裁民事4部い係の西村康一郎裁判官(4部の部総括)、法廷6階603号に係属となりました。

以下、提訴のあとの記者会見映像。



2024年8月3日土曜日

どうか、私たちにテロ組織という「えん罪」を晴らす方法を教えて下さい(24.8.4)。

 私たちは、今年5月出版されたブックレット「わたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方を」を一人でも多くの人に知ってもらうために、ブックレットの拡散、本代の回収、記録をおこなう新しい会を立ち上げました(「災害時の人権を考える会」といいます。その規約はこちら)。そして、「災害時の人権を考える会」の名前で、新しい振替口座を開くために、ゆうちょ銀行に口座開設の申込をし、必要な書類等をすべて準備し、受理されました。

ところが、その後、ゆうちょ銀行から、口座開設を拒否しますという1枚の書類が届きました(そのPDFこちら)。
しかし、その書類にはなぜ、私たちの新しい会が振替口座を持てないのか、その理由の説明が何も書いてありません。それどころか、その理由についての問合せにも応じないと書いてありました。この問答無用の無慈悲な回答を受けて、私たちは、ゆうちょ銀行のHPから「(法人でない)団体の口座開設のサイト(>こちら)」を調べ、 どうやらマネー・ローンダリングかテロ資金の関係する組織とみなされた場合には口座開設を却下することを突きとめ止めました。そして、7月10日に、ゆうちょ銀行宛に、私たちの口座開設申込を拒否した理由について、きちんと説明して下さい、もし私たちがマネー・ローンダリングかテロ資金の関係する組織と疑われているのなら、その疑いを晴らすために必要な手立てを協議する場を設けて下さい、という以下の「質問&協議の申入れ」をしました(その報告えっ?!私たち、いつの間に、テロ組織の一味にされてたの。申入書のPDFこちら)。

 これは単なるちっちゃな出来事ではありません。或る日突然、私たち庶民の取組みに「マネー・ローンダリングやテロ資金の関係する組織」というレッテルを貼られ、私たちの取り組みに必要な血液(お金)を回すための心臓ポンプ)みたいな役目をする銀行口座が開けなくなり、活動停止を余儀なくされるーーだれもがこのような目に巻き込まれる可能性があることを今回の一件は示したからです。
それは、決してささいな問題ではありません。市民が自分たちの社会を自分たちの手で運営し、統治するための基本的な市民活動、この自己統治に対する重大な規制だからです。人権でいうと、憲法が私たちに保障している「結社の自由」(21条)に対する理不尽な規制だからです。

それから18日待ちましたが、回答がありませんでした。そこで、この回答拒否の態度にまったく納得がいかなかったので、7月30日、「再度の質問&協議の申入れ」を作成し、ポストに入れようと思った矢先、ゆうちょ銀行から回答書が届いたのです(以下です。PDFこちら)。

ぞれは「回答できない」ということをグダグダと慇懃無礼に述べた回答でした。これを読んだ私たちの一人は、こんな感想を寄せてくれました。

文章の最後で、
「再度お申し込みいただいた場合は、 改めて審査いたしますが、口座の開設をお約束するものではございません」
とあるが、 審査の問題点を示すことがなくては、再度の申し込みも拒絶 返事が返ってくるのみです。
職員採用試験等のように、特定の人が応募するのなら、こうした対応もありえますが、 民営化以前は誰でも口座開設ができたのに、民営化後は 理由もなく拒絶する方針に変えてしまい、 「再度の申し込みは受けるが、その口座開設も拒絶する」と対応する不遜な態度は信じられない思いです。
「自分たちは国をバックにする支配者なのだ」と言ってる文章です。

 

そもそもゆうちょ銀行は、こんなしょうもない無意味な回答をするためだけになぜ18日もかかったのか、そこからしてますます不可解、ますます腹の虫が収まらず、準備していた「再度の質問&協議の申入れ」を微修正した完成版を作成し、その翌日に投函しました(以下。PDFは>こちら)。

ブックレットわたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方をのエッセンスは、理不尽な事態に対し「それはおかしい。わたしたちはその理不尽に甘んじない」です。今回、ブックレットを書いた私たちは、その最初の試練に出会いました。それが「ゆうちょ銀行口座開設拒否」事件です。そこで、この理不尽に屈しないため、人権を行使するため、一歩前に出ることにしました。 それがゆうちょ銀行に対する以下の再質問書です。
一歩前に出る
私たちのアクションに注視をよろしくお願いします。

(文責 「災害時の人権を考える会」代表 柳原敏夫

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再度の質問及び協議の申入書

2024年7月30日

株式会社 ゆうちょ銀行

横浜貯金事務センター所長  様

「災害時の人権を考える会」

代表 柳原敏夫

はじめに

 このたび、当団体の5月23日付の振替口座開設申込に対するゆうちょ銀行の6月26日付の拒否の通知には拒否の理由が何一つ書かれていなかったので、当団体より拒否の理由の説明を求めて7月10日付の質問書を出しました(7月12日到着を確認済み)。それから18日経過したにもかかわらず、ゆうちょ銀行より何も回答がありません。口座開設の申込が受け付けられたにもかかわらず、その後、問答無用の一片の通知で開設を拒否されるという対応に当団体は途方に暮れています。そこで、これがいったい、ゆうちょ銀行の本来の姿なのだろか?と、長い歴史を誇る民営化以前のゆうちょ銀行のあり方にさかのぼってこの問題を検討し、そこで得た結論に基いて、再度、同じ質問をさせて頂きました[1]

1、 民営化前(~2007年9月30日)

 もともと明治憲法以来の我が国の行政の実務は、交通、郵便、電話、水道などの国公営サービスの利用は、特別の制定法の定めがない限り、私法である民法上の契約として理解されてきました。そこで、上記の国公営サービスの基礎をこのように市民法に置いたことは、一方で、行政主体の不合理な特権的地位を否定することを意味すると同時に、他方で、今日では市民法であっても経済的地位の格差が歴然としている者同士ではもはや契約自由の原則は適用されず、社会国家原理等による変容が加わったものであることは社会国家原理に立脚した現憲法の制定により明らかです。その結果、国民の社会生活に不可欠な公共性の極めて高いサービスもしくはその供給が独占的にされているサービスについてはサービス主体である行政庁は「不合理な特権的地位」が否定され、公僕として国民にこれらのサービスを提供する義務を負い、正当な理由なしに当該サービスの提供を拒否できないと解されて来ました。この点、国公営サービスを規律する法律にかかる義務の規定があろうとなかろうと同様に解釈されてきました。

今回の振替口座とは、ゆうちょ銀行が民営化前から行ってきたサービスであり、《商品の代金や会費の集金、配当金や返還金の送金など、送金決済のあらゆるシーンにおいてフルに活用できる決済専用の口座》[2]であり、なおかつ利用者が全国津々浦々、どこからでも口座を持たなくても即時に利用できる極めて利便性に富んだサービスです。この意味で、振替口座は国民の社会生活に不可欠な公共性の極めて高いサービスであると同時に全国津々浦々の規模で決済可能な口座という点で独占的なサービスであり、従って、このような振替口座の開設について、民営化前においては、ゆうちょ銀行(郵政省)は特段の正当な理由なしに振替口座の開設を拒否することはできず、もし国民の社会生活に重大な影響を及ぼす、なおかつ上記の意味での独占的なサービスである振替口座の開設を拒否する場合には、公正性原則、透明性原則、説明責任の行政法の基本原理に照らし、拒否せざるを得ない正当な理由について国民に納得して貰うために説明を尽くすことが求められた――これがゆうちょ銀行の本来の姿であると考えます。

2、民営化後(2007年10月1日~)

 以上述べた法律関係の基本は、ゆうちょ銀行の民営化によっても変容されるものではありません。なぜなら、そもそも振替口座というサービスは民営化前から国公営サービスの1つとして、その利用関係は民法上の契約として理解されてきたものであり、そればかりか、民営化によっても振替口座の仕組みも、従って、それが果す社会的機能も変わっておらず、それゆえ、国民の社会生活に不可欠な公共性の極めて高いサービスである点は民営化前のままだからです。従って、振替口座が公共性の極めて高いサービスであることを踏まえたとき、民営化前からのやり方である、「振替口座開設を拒否する場合には拒否せざるを得ない正当な理由について国民に納得して貰うために説明責任を果すことが求められる」点も、民営化によって変更される理由は何もありません。

 従って、今回、当団体の振替口座の開設申込に対し、窓口で必要書類の提出を受けて申込を受理しながら、その後、開設拒否の通知をして来た場合には、なぜ拒否をせざるを得なかったのか、その正当な理由について、ゆうちょ銀行は、民営化前と同様に、利用者の当団体に対し誠実に説明を尽くす責任があります。

3、再度の質問の申入れ

 ところが、当団体からの説明を求める上記質問書に対しても、すでに18日が経過したにもかかわらず、ゆうちょ銀行は今日現在まで回答をせず、これを無視し説明責任を全く果そうとしません。これでは、民営化の名のもとに、1で述べた「明治憲法以来の我が国の行政の実務が・・・行政主体の不合理な特権的地位を否定」したことすら否定して「私企業の不合理な特権的地位」を行使することではありませんか。もともと民営化とは競争の導入により公共サービスの改革をめざしたものであって、行政庁として否定されていた「行政主体の不合理な特権的地位」を民営化の名のもとに復活させるためではありません。

この点で、ゆうちょ銀行のこのたびの振舞いは民営化の名のもとに「私企業の不合理な特権的地位」の行使以外の何ものでもなく、国民の社会生活に不可欠な公共性の極めて高いサービス提供を拒まれた国民の側として到底納得も容認もできるものではありません。

 従って、当団体としては、ゆうちょ銀行が1で述べた本来の立場に立ち帰って行動することを求めて、再度、前回と同様の以下の質問を致します。ただし、二回目はレッドカードを行使する寸前のものであり、万が一、本質問書到着後10日以内に、誠実な回答がいただけない場合には、この問題を公の場に問いかけ、なおかつ司法の裁きを受ける所存ですので、念のため申し添えます。

当団体は、原則として口座の開設を承諾する義務があるゆうちょ銀行に対し、なぜ、この原則通り承諾しなかったのか、拒否を裏付ける「正当な理由」について、例えば、単に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いがある」といった一般的な理由ではなく、どのような具体的な事実に基づき「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いがあるのか」を明らかにして書面で封筒記載の住所宛に回答して頂くよう、ここに申入れをする次第です。

以 上


[1] 以下は主に塩野宏「行政法Ⅰ」「新・裁判実務大系:行政争訟」所収の藤山雅行ら「給付行政と行政契約」を参照にしたものです。

[2] ゆうちょ銀行のHPhttps://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/chokin/furikae/kj_cho_fe_index.html

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2024年7月13日土曜日

あなたはいったい何を根拠に、311後の日本社会をゴミ屋敷と呼ぶのですか(24.7.13)

 私は、ブックレットわたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方をで、311後の日本社会をゴミ屋敷と呼んだ。なぜそんなひどい呼び方をしたのですかという質問に、その答えは、それが311後の日本社会の現実だからです。

それを示す1つの文書と動画を紹介します。それは2012年10月末、国連人権理事会のUPR(普遍的定期審査。この時の審査の対象が日本政府だった)に合わせ、ジュネーブに行き、福島の現実を訴えに行った。その時話した内容は、その後、実に見事と言うほかないくらい、何ひとつ何も変わっていない、ずべて放置され、ネグレクトされたままだからです。以下が原稿とその動画。
このゴミ屋敷の世界の至る所で、ドブのあわぶくのように酷い人権侵害が頻発する。先日のゆうちょ銀行の口座開設拒否事件もその一例。



ジュネーブ国連でのスピーチ「福島から訴える」草稿(2012.10.27)

1、私が申し上げたいことは、「日本政府は、今すぐ、ふくしまの子どもたちを安全な場所に集団避難させよ!」ということです。さもないと、沢山のふくしまの子どもたちの命と健康が奪われるからです。フクシマに21世紀のホロコーストを再現させてはなりません。

2、日本政府はチェルノブイリ事故から実に沢山のことを学んできて、昨年311日の福島第一原発事故のあと、その成果をすばやく、忠実に実行しました。それが日本政府の3大政策です――第に「情報を隠すこと」第2に「事故を小さく見せること」第3に「様々な基準値を上げること」でした。
(1)、情報を隠すこと
ソ連政府は避難地域を拡大したくなかったので、避難地域の外にあるベラルーシ・ゴメリの高濃度汚染の情報を隠しました。日本政府も、避難地域を拡大させないために、放射能汚染を予測するシステムによって得られた汚染情報を隠しました。その結果、この情報を知っていれば避けられた被ばくを、多くの市民が余儀なくされました。
被ばくによる甲状腺がんを予防するためには、事故後直ちに安定ヨウ素剤を服用することは周知の事実でしたが、ソ連政府は市民に安定ヨウ素剤を配布しませんでした。そのため、多くの子ども達が甲状腺がんになりました。日本政府も安定ヨウ素剤を配布しませんでした。独自の判断で配布した町に対し、回収するように命じさえしました。その結果、いま、沢山のふくしまの子どもたちの甲状腺に異常が見つかっています。

(2)、事故を小さく見せること
ソ連政府は、事故後最初の演説で「放射線のレベルは人体に影響はない程度だ」と言いました。日本政府も、事故直後「健康に直ちに影響はない」を連発しました。

(3)、様々な基準値を上げること
ソ連政府は、キエフ市が学童疎開を開始する前日に、年間被ばく許容基準を100倍に引き上げました。その結果、キエフ市以外では学童疎開ができなくなりました。日本政府も、自治体が学童疎開を開始する前に、すばやく学校の安全基準を20倍に引き上げました。その結果、ふくしまの学校はどこも学童疎開できなくなりました。しかし、いったい、どうやって子どもたちに「君たち福島の子供たちは、被ばくしたので、本日から放射能の感受性が20倍にアップしました」と説明したらよいのでしょうか。日本政府は「緊急時」のやむを得ない措置だと言いましたが、昨年12月、野田総理が原発事故は「収束した」と宣言したその後も、依然、20倍の「緊急時」の措置が続いています。この矛盾を、どうやって子どもたちに説明したらよいのでしょうか。

以上の結果、日本政府の3大政策の最大の被害者は子どもたちです。
原則として原発20キロ圏外の福島の子どもたちは、事故後現在まで、放射の汚染地域に住み、学校に通っています。以下は福島原発から60キロ離れた郡山市の地図です。昨年8月発表された空間線量のデータに基づき、チェルノブイリの住民避難基準を当てはめると、郡山市の市街地の殆どが、チェルノブイリの住民避難基準で住民が避難する義務を負う移住義務地域に該当します。このような危険な地域に多くの子ども達は住み、教育を受けているのです。

 
しかも、日本政府が提供した線量計は、地域住民が実際に受けている放射線量の値の半分しかないことが専門家の調査により明らかにされました(2012年10月5日「内部被曝研の報告」。


福島県の小中学校や公園の約500ヶ所で、2台の線量計が並ぶ光景が見られます(写真上)。右は政府から契約を解除された業者が納入したもので、左と比べ値が最大40%高い。理由は右が世界標準の仕様であるのに対し、左は日本標準の仕様だからです。原発事故後も引き続き、日本政府により「事故を小さく見せる」「安全・安心」神話作りが懸命に進められています。

その結果、事故後1年を経ないうちに、福島の子どもたちに次のような健康被害が明らかになりました。

3、子どもたちの健康被害
今年9月11日に福島県が発表した検査結果では、4万2千人の子どもの43%に甲状腺の異常(のう胞または結節)が見つかりました。とくに女子の被害は深刻で、6~10歳の54%、11~15歳の55%に異常が判明しました。通常なら百万人に1名と言われる小児甲状腺ガンが、38名の検査の中から初めて1名見つかりました。しかし、日本政府はガンと事故の因果関係を否定し、全く対策を取りません。


前回の4月26日の検査結果で3万8千人の子どもの36%に甲状腺の異常が見つかったとき、海外の専門家は次のように警鐘を鳴らしました(Business Insider 2012.7.19)。
「こういった甲状腺異常が一年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5~10年かかるものです。これは、子どもたちが大変高線量の被ばくをしたことを意味します。‥‥子どもたちに甲状腺結節やのう胞があるのは、異常極まりありません!」(オーストラリアのヘレン・カルディコット博士)
「福島原発事故後にこれほどすぐに、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いています、なおかつこの事実が世間に広く知られていないことに驚いています。」(アメリカ甲状腺学会次期会長)

甲状腺でこれだけ早い時期にこれだけ多数の異常が見つかったということは、ふくしまの子どもたちが、今後、甲状腺の病気だけでなく心臓病など様々な病気を発症する可能性がとても高いことを意味します。それはチェルノブイリ事故による健康被害について、ウクライナ政府の最新の報告書[1]からも明らかです。
 
4、日本政府の対策
(1)、この深刻な被ばくに対する日本政府の対策の中心は除染です。しかし、チェルノブイリ事故から学び尽くしている日本政府はチェルノブイリの経験と同様、フクシマでも除染が失敗するのは最初から織り込み済みです。無意味な除染作業の間に、子ども達は被ばくし続けています。それは犯罪以外のなにものでもない、ではないでしょうか。


(2)、しかも、日本政府は、子ども達に対し「危険だと思うのなら、自主的に避難すればよい」という立場です。しかし、福島の子ども達は自主的な避難を選択しなければならないほど、何か悪いことでもしたのでしょうか。子ども達が遊んで原発を壊したのでしょうか。子ども達は自分たちが原発を誘致したのでしょうか。彼らには100%責任はありません。彼らは純粋の被害者です。他方、日本の国会も認めるとおり、福島原発事故は自然災害ではなく、人災です。日本政府は原発事故の加害者です。自動車事故では、誰も加害者に被害者を救護する義務があることを疑いません。誰も、轢かれた被害者が自分で自主的に病院まで行け、とは思いません。同じ人災である原発事故でも同様です。加害者である日本政府が純粋な被害者である子供たちに、自主避難しろと言うのは道徳的に決して許されることではありません。

5、チェルノブイリからの訓え
(1)、チェルノブイリ事故について、350の英語論文を元にしたIAEAの従来の公表記録に対し、ベラルーシ語、ウクライナ語、ロシア語を中心とした5千の論文に基づいた2009年のヤブロコフ・ネステレンコ報告[2]によれば、チョルノブイリ事故により世界で98万人以上の人々が命を失いました。福島は人口密度がチョルノブイリの5倍以上あるといわれています。
このままでは、福島で今後どれほど膨大な数の被害者が発生するのか、想像を絶するものがあります。
では。どうすればよいのでしょうか。簡単です。今すぐ、子ども達を避難させ被ばくから逃がすのです。なぜ今すぐか。チェルノブイリで世界標準とされる住民避難基準が採用されたにもかかわらず、98万人もの犠牲者を出したのは、その住民避難基準が不十分だっからではなくて、その基準の採用が事故後5年も経過してからです。人々はその間ずっと被ばくし続けていたためで、避難するのが遅すぎたのです。だから、今すぐ避難する必要があるのです。
(2)、これこそ、日本政府がチェルノブイリから学ぶべき最大の教訓です。福島の高校生がこう言いました「命のスペアはありません」。子どもの命が滅びたなら、福島が復興したところで何の意味があるのでしょうか。
集団避難はお金さえあれば実現できる最もシンプルな解決方法です。1959年、日本政府は原発導入にあたって、原発事故による被害額を国家予算の2.2倍(現在の国家予算なら200兆円)と試算済みです[3]。元々それだけの損害額を覚悟して原発の導入を推進したのです。金銭的に、福島県の子どもたちの集団避難は不可能だという言い訳は通用しません。今年4月、日本の財務大臣がIMFに、電話で、ヨーロッパの信用不安の防止のため500億ドル提供すると伝えたと報じられました。経済の復興のためにそれだけのお金が用意できるのあれば、命の復興のためにお金を準備できない筈がありません。
6、世界の良心の声を福島に
 

映画『シンドラーのリスト』を作った監督スピルバーグはこう言いました「ホロコーストで起きていたことは、当時、チャーチルもルーズベルトも知っていた」と。しかし、彼らは見て見ぬ振りをした。もし、当時、彼らが声を上げていれば、ホロコーストの悲劇も最小限に食い止められたのです。今の福島も同じです。原発を推進したいと思っている人たちは、福島の惨状を見て見ぬ振りをしています。しかし、もし世界中の人たちが声を上げれば、いま、福島に襲いかかっている悲劇を最小限に食い止めることができます。福島の子どもたちの命を救うことができます。それはひとえに世界の皆さんの良心にかかっているのです。
私たちは、何の責任のない福島の子どもたちを21世紀の「人道に対する罪」の犠牲者にする訳にはいきません。これはイデオロギーの問題でも政策の問題でもありません。子どもの命という人権の根本問題です。どうか、福島と関わる私たちと世界の皆さんとが「つながる」ことによって、福島の子どもたちを救い出して下さい。

2024年7月10日水曜日

えっ?!私たち、いつの間に、テロ組織の一味にされてたの(24.7.10)

 私たちは、今年5月出版されたブックレット「わたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方を」を一人でも多くの人に知ってもらうために、ブックレットの拡散、本代の回収、記録をおこなう新しい会を立ち上げました(「災害時の人権を考える会」といいます。その規約はこちら)。そして、「災害時の人権を考える会」の名前で、新しい振替口座を開くために、ゆうちょ銀行に口座開設の申込をし、必要な書類等をすべて準備し、受理されました。

しかし、その後、ゆうちょ銀行から、口座開設を拒否しますという1枚の書類が届きました(以下です。PDFはこちら)。

けれど、その書類にはなぜ、私たちの新しい会が振替口座を持てないのか、その理由の説明が何も書いてありません。そして、その理由についての問合せにも応じないと書いてありました。この問答無用の無慈悲な回答を受けて、私たちは、ゆうちょ銀行の(法人でない)団体の口座開設のサイト(>こちら)を調べたら、そこにこう書かれていました。

 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の重要性が近年益々高まっていることを受け、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等で求められている確認に加え、下記の書類等をお持ちいただいたうえで、口座開設にかかる審査を実施しております。

そうだとすると、私たちの新しい会はマネー・ローンダリング(警察庁の解説こちら)かテロ資金の関係する組織とみなされたものと思われます。これこそ青天の霹靂!腰を抜かしてしまいました。私たちのどこに、そんな犯罪行為に関与すると疑われるところがあったのでしょうか。これを知り、今すぐ、この腹をかっさばいて、腹黒い血なぞ一滴も流れていないことを証明したい衝動に駆られました。

そこで、私たちをそのように疑っていると思われるゆうちょ銀行に対し、本日、私たちの口座開設申込を拒否した理由について、きちんと説明して下さい、もし私たちがマネー・ローンダリングかテロ資金の関係する組織と疑われているのなら、その疑いを晴らすために必要な手立てを協議する場を設けて下さい、という以下の質問&協議の申入れをしました(PDFこちら)。

これは単なるちっちゃな出来事ではありません。或る日突然、私たち庶民の取組みに「マネー・ローンダリングやテロ資金の関係する組織」というレッテルを貼られ、私たちの取り組みに必要な血液(お金)を回すための心臓ポンプ)みたいな役目をする銀行口座が開けなくなり、活動停止を余儀なくされるーーだれもがこのような目に巻き込まれる可能性があることを今回の一件は示したからです。
それは、決してささいな問題ではありません。市民が自分たちの社会を自分たちの手で運営し、統治するための基本的な市民活動、この自己統治に対する重大な規制だからです。人権でいうと、憲法が私たちに保障している「結社の自由」(21条)に対する理不尽な規制だからです。

ブックレットわたしたちは見ている:原発事故の落とし前のつけ方をのエッセンスは、理不尽な事態に対し「それはおかしい。わたしたちはその理不尽に甘んじない」です。今回、ブックレットを書いた私たちは、その最初の試練に出会いました。そこで、この理不尽に屈しないため、人権を行使するため、一歩前に出ることにしました。 それがゆうちょ銀行に対する以下の質問書です。
一歩前に出る
私たちのアクションに注視をよろしくお願いします。

(文責 「災害時の人権を考える会」代表 柳原敏夫

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質問及び協議の申入書

2024年7月10日

株式会社 ゆうちょ銀行
横浜貯金事務センター所長  様


「災害時の人権を考える会」
代表 柳原敏夫

市民団体「災害時の人権を考える会」(以下、当団体といいます)は、本年5月23日、貴社の運営する振替口座の開設申込を小田原城山郵便局にて申込をしたところ、貴社より6月26日付の書面で、口座開設を拒否するという通知が届きました。その結果、活動目的を「災害時の被災回避を啓蒙する著作物の出版の企画と販売」(規約3条)と定める当団体にとって、出版物の販売を遂行する上で不可欠な活動(売上代金の回収と記録)のための振替口座が利用できなくなり、当団体は事実上、活動停止に追い込まれるという深刻な事態に至りました。これは憲法が市民に保障する結社の自由(21条)に対する重大な規制であることは言うまでもありません。

もとより、当団体も、貴社の口座開設が無条件で認められる訳ではなく、貴社のホームページが告知している通り、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いといったいわゆる反社会的な利用目的での開設申込に対してはこれを拒否することが正当化されることは重々承知しているところです。ところが、今回の当団体の開設申込が上記の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑い」に該当するのか否か、上記通知にはその点についての説明が何もなく、当団体は正当な理由を知らされないまま、活動停止に甘んじなければならないという途方に暮れる事態に置かれています。

その後、当団体の調査により、「銀行業務の公共性(銀行法1条)に鑑みて,銀行の預金取引については契約自由は制限され,銀行は顧客からの預金取引の申込みに対し正当な理由がない限り承諾すべき義務がある」というのが今日の判例だと知りました。そこで、当団体は、原則として口座の開設を承諾する義務がある貴社に対し、なぜ、この原則通り承諾しなかったのか、拒否を裏付ける「正当な理由」を、しかも、例えば、単に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いがある」といった一般的な理由ではなく、どのような具体的な事実に基づき「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑いがあるのか」を明らかにして書面で封筒記載の住所宛に回答して頂くよう、ここに申入れをする次第です。

今回、当団体は、少なからぬ時間と労力をかけて、小田原城山郵便局にて貴社が求める口座開設の申込に必要な情報と書類をすべて準備し、クリアし、受理されました。にもかかわらず、その後、横浜貯金事務センターにて理由の全面不開示のまま拒否されたことに対しては、これが顧客のニーズに応えて企業の社会的責任を果す日本を代表する金融機関の姿なのかと大いになる困惑と不信の念がふつふつと沸いてくるのを押さえ難いというのが偽らざる心情です。

そして、貴社の回答は、当団体が活動停止に甘んじざるを得ないのかどうかという瀬戸際に立たされた市民団体の活動に関わる重要な事柄ですので、この質問書と同様にブログにて公開いたします。

その上で、貴社より頂いた回答により、万が一、例えば「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の疑い」をかけられるのが尤もだと判明した場合には、当団体としては、即刻、冤罪ともいうべきその疑いを晴らす所存でありますが、なにぶん市井の人で構成される当団体はマネー・ローンダリング及びテロ資金問題のずぶの素人です。そこで、マネー・ローンダリングらの問題に通暁されている貴社から当団体に対し、何が揃えばその疑いが晴れるのか、この点について説明を果していただく社会的責任があるものと考えます。よって、そのための対応策を検討する協議の場を設けていただくことを強く求める次第です。

 当団体にとって死命を制する重大な事態に対して、以上が当団体からのささやかな要望のご連絡です。これに対し、もし不幸にして、このような顧客の要望に応えることが適わないという対応をされる場合には、誠に不本意極まりありませんが、当団体としては、司法の場で、貴社の口座開設を承諾する義務に基づき、今回の拒否を裏付ける「正当な理由」の開示を求める所存でありますので、念のため申し添えます。

 以上の顧客からの切実な質問及び協議の申入れに対し、市民社会から貴社の不適切営業は「巨大銀行の奢り」と非難を受けることのないように、誠実なご検討と回答を願ってやみません。
                                   以 上

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ゆうちょ裁判情報 
提訴
オンライン署名
記者会見映像
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【報告】ゆうちょ裁判、第3回弁論(3月19日)が開かれました(25.3.19)

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